窓 

 

カドノイエ
私達が住まいの設計の中で大切にしていることの一つに「心地よさ」があります。これには心理的側面と物理的側面があると思いますが、今回は物理的な面に視点をあてて考えてみたいと思います。

 
多くの人は、冬は日の光が差し込む明るく暖かな部屋、夏は風の通る涼しい部屋を望むのではないでしょうか。設計の仕事に携わってきた十数年の中には、陽の光の入らない薄暗く落ち着いた図書室のようなリビングを望んでいたり、全く光の入らない近未来的な空間を好まれたりという場合もあります。人の好みは様々ですが、光が入り、風が通る空間を望まれる方が一般的には多いと思います。
 

限られた条件の中でどのように窓をつくるか

「カドノイエ」
まずはこの家に焦点をあて、設計の時どんなことを考えていたか書いてみたいと思います。この家は繁華街が近いということもあり、通行人の視線を避ける目的で、部屋の吹き抜け上部に窓を計画しています。また、掃き出しサッシを付ける部分は板塀で囲ったり、トップライトをとったり、換気用に小窓をつけたりと、家の中から気持ち良く外の景色を眺める窓、光を取り込む窓、風を入れる窓、外観のアクセントとなる見せる窓というようにそれぞれの窓の個性・役割を割り振ってつくりました。

カドノイエ

 

採光の窓

世の中、立地にかかわらず無条件に南面に大きな掃き出しサッシのある家が多いですが、外部の環境にもよりますが、常にカーテンがかかっていないと!というのはいかがなものでしょうか。それぞれの場所にそれぞれの役割に合わせた窓の計画があると思います。
 

カドノイエ

 

寝室の窓

また映画好きな夫妻の寝室はミニシアタールーム。プロジェクター、スクリーン、サラウンドシステムの配置を考えて準備し、壁は防音仕様、窓には光を遮る建具を取り付けています。ちなみにこれらの建具、閉じられるよりも開いていることが多いのです。だからといって閉じるときだけどこからか取り出してくるのも億劫です。建具の開いている時も納まりよくいられるようにちょっとした工夫で建具の居場所もつくっています。上の写真はハイサイドの窓の下に見える和紙張りの部分が遮光のための跳上式の板戸になっています。
 

カドノイエ

 

換気の窓

風通しのための小窓にも遮光のための板戸をつけました。開いているときにも敷居に玉締りで固定してあるのでパタパタしません。普段はつけないですが、壁に開いている時のための下枠をつけました。開いている時も敷居にちょこんとのった形となり、落ち着きます。
 

「松庵の家」
よく聞く旗竿敷地という言葉。この家の敷地は本当に旗竿の形で、東西南北ぐるりと建物に囲まれた家です。主に光を取り入れられるのはトップライトと南に向いたハイサイドライトのみ。かろうじて南隣の家の屋根を越えて陽の光を取り入れることができました。壁・天井を反射率の高い白色とすることで、より明るい空間となるようにしています。貴重な光は家の中心につくった、光を遮らないオープンな階段室から1階へとおちてゆきます。1階はほぼ隣家に囲まれ、階上からしか光の入ってこない状態ですが、1箇所だけ家と家の間に隙間が!午前のひとときの光を取り込む窓ができました。ロフトは収納空間であるとともにお父さんの避難スペースです。ちょっと考え事をしたい時、ロフトに登り…声は聞こえど、ごろりと横になり、空を眺めてひと時を過ごす。トップライトはそんな窓でもあります。